「債務整理と過払い金返還請求はどこが違うの?」という疑問をお持ちのかた。どちらも貸金業者とのやり取りでおこなわれる手続きですが、さまざまな違いがあります。
この記事では債務整理と過払い金返還請求について詳しく見ていきます。
Contents
債務整理とは
債務整理とは、借金の問題を解決する方法です。借金が原因で生活が成り立たなくなったり、精神的に追い詰められたりするのを防ぐ目的でおこなわれることが多いです。
債務整理には次の3つの方法があります。
・任意整理
・個人再生
・自己破産
任意整理
債権者(消費者金融など)と交渉することで、借金を減額してもらったり長期の分割払いに変更してもらったりすることです。
債務整理のなかで最も多くおこなわれる方法です。
今後支払う予定の利息を減額してもらえることは多いですが、必ずしも債権者が任意整理に応じてくれるわけではありません。
個人再生
借金の元本を減らせる手続きです。場合によっては10分の1まで減額できることも。
財産の一部を手放す必要がありますが、家を手放さなくても良いように「住宅ローン特則」という制度を利用できます。
ただし個人再生(と自己破産)は10年間ブラックリストに載ります。この期間は金融機関から融資を受けたりするのは難しくなるでしょう。
自己破産
借金が全額免除になる方法です。多額の借金を抱えているかたにとってはメリットもありますが、保証人や連帯保証人の負担が大きくなる可能性もあります。
自己破産した場合は、ほとんどの財産を没収されることになるでしょう。ただし生活に最低限必要な99万円以下の現金などは手元に残ります。
また自己破産の手続きをおこなっている間は、保険の外交員や弁護士など特定の仕事に就くのが難しくなるというデメリットもあります。
過払い金返還請求とは
過払い金返還請求(過払い請求)とは、払いすぎた利息を返してもらうことを言います。この記事では債務整理の仲間に含めていませんが、債務整理の一種とも言えるでしょう。
過払い金の額によっては、債務整理をしなくて済む場合もあります。過払い金の返還請求ができるのは完済後10年以内です。
貸金業法が改正された平成22年(2010年)6月17日以前に借り入れをしたかたは、過払い金が発生している可能性があります。まずは自分に過払い金があるのかを調べることから始めましょう。
過払い金返還請求について詳しく知りたいかたは、弁護士や行政書士に相談するのがおすすめです。
債務整理と過払い金返還請求の違い
債務整理と過払い金返還請求には、異なる点があります。
立場の違い
債務整理では貸金業者があなたにお金を貸していますが、過払い金の場合はあなたが貸金業者にお金の返還を請求します。
ブラックリストに載るかどうかの違い
債務整理をするとブラックリストに載ってしまいます。ブラックリストに載ると5年はクレジットカードが申し込めなかったり、10年間は金融機関のローンが組めなかったりします。
過払い金返還請求の場合は、ブラックリストに載ることはありません。
ただし例外もあります。請求した過払い金を債務整理の返済に充て、それでもまだ借金が残っている場合です。
過払い金返還請求は弁護士と司法書士のどっちに依頼する?
過払い金返還請求は、弁護士や司法書士に依頼するのが一般的です。
しかし弁護士と司法書士はそれぞれ特徴があるので、まずはどちらに依頼するのか検討する必要があります。
弁護士に依頼するメリット
弁護士なら裁判で徹底的に争えます。また地方裁判所で訴訟を起こすことも可能です。一般的に貸金業者は裁判を起こすのが面倒だと思っているので、裁判をチラつかせることで交渉を有利に進められるでしょう。
また弁護士は、請求できる過払い金の額に上限もありません。
ただし全ての弁護士が過払い金返還請求を積極的に取り扱っているわけではないので、まずは気になる弁護士事務所に問い合わせてみるのが良いでしょう。
司法書士は手続きに制限がある
司法書士が請求できる過払い金の額には、「140万円以下」という制限があります。過払い金の額が140万円を超えそうだと思ったら、弁護士に相談するのをおすすめします。
また司法書士に代行してもらえるのは簡易裁判所までで、地方裁判所以上では弁護士に依頼することになるでしょう。
ヤミ金に支払ったお金は返ってくる可能性がある
ヤミ金からお金を借りた場合は、返す義務はありません。貸金業登録をしていなかったり、年率20%を超えて貸付をしていたりするのは違法です。
悪質な取り立てで悩んでいるかたは、すぐに弁護士に相談しましょう。返済したお金が戻ってくる場合もありますよ。
まとめ
債務整理と過払い金返還請求は異なります。債務整理はお金の支払いが必要な状態、過払い金返還請求はお金を請求できる状態です。
債務整理を考えているかたは、過払い金返還請求で債務整理を避けられるケースもあるので、まずは弁護士や司法書士に相談するのがおすすめです。