「債務整理って自己破産のことでしょ?」と思っているかたも少なくありません。決して間違いではないのですが、全く同じというわけでもありません。
この記事では債務整理と自己破産の違いについて見ていきます。
Contents
債務整理=自己破産ではない
「自己破産」は債務整理の一種ですが、債務整理には自己破産以外に「任意整理」「個人再生」といったものがあります。
自己破産とは
自己破産とは、「借金が返せなくなった場合に、借金を免除してもらう方法」です。これだけ聞くと良いことのように思えますが、最後の手段とも言える方法です。
次のような場合に、自己破産を検討する人が増えてくるでしょう。
・多額の借金を抱えているが、収入がない
・複数の金融機関から借金をしていて、返せそうにない
・預金口座や給与が差し押さえられている
自己破産が可能になるのは、「借金が支払い不可能」になった時です。
任意整理とは
任意整理とは、債権者(金融機関など)と交渉して、将来支払う予定の利息をカットしてもらったり、長期の分割払いに切り替えてもらったりする方法です。
借金の元金は減らない場合がほとんどですが、「これから借金をきちんと返済していけるような体制を整えるたい」というかたにおすすめです。
ただし任意整理は裁判所を通して行われるわけではないので、必ずしも債権者が同意してくれるわけではありません。
個人再生とは
個人再生とは、借金を大幅に減額することで、返済できるようにする方法です。通常は3年の分割払いでの返済に切り替えます。
ある程度の財産は失いますが、自己破産のようにほとんどの財産を失うわけではありません。
自己破産とは違い、家を没収されずに残すことも可能です。
自己破産によって起こる日常生活の変化
自己破産をすると、日常生活にどんな変化が出てくるのでしょうか?
引っ越しが必要
自己破産で家を没収された場合は、引っ越す必要が出てくるでしょう。ご近所との関係も変わるかも知れませんし、新しい環境に慣れることも必要ですね。
車での移動ができなくなる
自己破産すると車も没収されるでしょう。(車の資産価値が20万円以下の場合は別)
車で仕事に通勤していたかたや、車で子供を学校へ送り迎えしていたかたなどは、公共交通機関など新しい移動手段を考えなければなりません。
年金や税金の支払いは必要
自己破産をしたからといって、年金や健康保険料の支払いがなくなるわけではありません。公共料金の支払いも、もちろん必要です。
仕事が無く、これらの料金の支払いが難しいかたは、役所に相談するのがおすすめです。支払いを猶予してもらったり、分割払いに切り替えたりできる場合が多いです。
会社をクビになることはない
自己破産をしても会社をやめる必要はありません。自分の会社から借り入れをしていない場合は、会社に自己破産の事実を知られる心配もないでしょう。
仕事を探しているかたも、自己破産が原因で就職できない、といったことはありません。
ただし金融機関への就職を考えているかたは注意が必要です。採用の際に身辺調査をされる可能性があります。
自己破産のメリット・デメリット
自己破産には、さまざまなメリットやデメリットがあります。
自己破産のメリット
自己破産のメリットは何と言っても、借金が免除されること。何千万円の借金があっても全て帳消しになります。
自己破産は誰でも申請できます。フリーターや主婦、生活保護を受けている人でも可能です。収入があるかどうかも関係ありません。
自己破産すると、督促から解放されるメリットもありますね。借金を抱えている人は督促で悩んでいる場合も多いので、精神的に楽になるでしょう。
自己破産のデメリット
自己破産のデメリットは、資産や現金のほとんどを失うこと。家や車、生命保険、貴金属などは全て没収されるでしょう。新築や新車でも、もちろん没収されます。
ただし全てを没収されるわけではありません。時価20万円以下の資産や99万円以下の現金は手元に残ります。
また自己破産をすると、借金の保証人や連帯保証人の負担が大きくなるので注意が必要です。多大な迷惑がかかることも考えられるので、自己破産をする前にきちんと相談しておくことが必要でしょう。
ちなみに自己破産した本人と一緒に、保証人も自己破産の手続きをするのも可能です。
自己破産をするとブラックリストに載ることも避けられません。自己破産してから5年間はクレジットカードが作れなくなり、ローンを組む場合も10年間は難しいでしょう。
これ以外にも、自己破産の手続き中は警備員や弁護士などの仕事に就けなくなるなど、さまざまなデメリットがあります。
まとめ
自己破産は債務整理の一種です。自己破産をすると日常生活に変化がありますが、「人生の終わり」というような、多くのかたが思っているほど悪い影響があるわけではありません。再びきちんと生計を立てていくことは可能です。
ただしブラックリストに載りローンを組めなくなったりするので要注意。自己破産をお考えのかたは、その後の生活について事前に計画を立てておく必要があるでしょう。